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最新の乳がん治療(PDEカメラによるセンチネルリンパ節生検と術中迅速診断OSNA法)本格導入

2014年05月23日(金)

最新機器OSNAを本格導入
乳がんセンチネルリンパ節生検が行えるようになりました。

 現在、乳がん罹患率は年々増加傾向にあり、いまや日本人女性の16人に1人が乳がんを発症するといわれています。乳がんの治療は外科治療(手術)のほか、化学療法やホルモン療法、放射線療法などを組み合わせた集学的治療が行われます。ここではその中でも外科治療に関して説明をしたいと思います。手術は通常、腫瘍の部位・大きさ・性質などによって、乳房をすべて切除する乳房切除術、あるいは乳腺の一部分を切除する乳房温存手術のいずれかが行われます。また、乳がんは脇の下(腋窩:えきか)のリンパ節に転移することが知られており、以前よりがん病巣の切除以外に腋窩リンパ節の郭清(決まった領域のリンパ節をきれいに取り除くこと)が行われてきました。しかし、さまざまなデータ解析により、腋窩リンパ節郭清は手術後の予後を改善するという意味合いは薄れ、最近では手術後の治療方針を決める際の指標となるために行われるようになってきました。そのため、リンパ節に明らかな転移がある場合を除き、不必要なリンパ節郭清をできるだけ省こうという考え方、“センチネルリンパ節生検”という手法が考え出されました。

 センチネルリンパ節生検は、がん細胞が最初に到達(転移)するリンパ節のことを指し、“見張りリンパ節”とも呼ばれます。センチネルリンパ節を同定・摘出し、手術中に転移の有無を調べることを“センチネルリンパ節生検”といいます。センチネルリンパ節の同定法にはいくつかの方法がありますが、当院では一般的な色素法に加え、昨年より専用赤外線カメラを用いた蛍光法を導入し、それら併用法にて良好な成績を収めています。摘出されたセンチネルリンパ節に転移が認められなければ、それ以上の郭清を省略することができます。それにより、腋窩リンパ節郭清後に起こりうる上肢(腕)の知覚障害、むくみ(リンパ浮腫)などの後遺症を極力減らすことが可能となりました。

 また、摘出したセンチネルリンパ節への転移の有無を調べるのに、通常は専門の病理医による術中診断が必要となります。病理医不在の当院で術中診断を行うのに、昨年より“OSNA(オスナ)法”という手法を取り入れました。OSNA法は摘出したリンパ節を細かく砕き、溶液に溶解し、機械にセットするだけで転移の有無を調べられる画期的な方法です。従来からの病理医による診断法と同等の成績が得られており、またOSNA法に特有の利点もあることから、いま大変注目されている手法です。
乳がんのセンチネルリンパ節生検は、設備上の問題などから残念ながらすべての医療施設で行えていないのが現状です。当院では上に述べましたような最新の設備をオホーツク管内でもいち早く導入し、地域の患者様へ質の高い医療を提供しております。乳腺に関することで何かお悩みの方がいらっしゃいましたらお気軽にご相談ください。
 


【乳腺外来】  ※一部予約可

・火曜日 15:00~16:00 重原医長
・金曜日 15:00~16:00 岡村副部長
・第二火曜日 全日 古川清憲先生(前日本医科大学第1外科教授)


※お問い合わせは、小林病院外科外来まで

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