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【川村エッセー:ときわぎ】思い出の温泉

2009年08月18日(火)

先日、本州に住む友人が遊びに来てくれた。休暇の時くらい心身ともにリラックスしてもらおうと思い、温泉とゴルフでもてなすことにした。オホーツク・道東エリアには有名な温泉が多いが、北見市内に近く、ゴルフ場もあることから温根湯温泉に宿泊を決めた。

私の温根湯温泉郷(温根湯温泉、滝の湯温泉、ポン湯温泉)との付き合いは30年以上前にさかのぼる。当時、母方の伯父が「滝の湯山荘」という民宿を経営しており、小学生時代はよく家族で滝の湯温泉に遊びに来ていた。独特のつるつる感とかすかな硫黄の香りが特徴で、肌触りがよく子供ながらに大好きな温泉であった。私は大の温泉好きで、その後全国各地の温泉を訪ねたが、温根湯温泉郷のお湯は上位にランクされるべき素晴らしい質だと思う。温泉の数は以前に比べかなり増加したが、温泉療養などに使われるべき湯は、肌にやさしく、そして源泉かけ流しであることが望ましい。温根湯温泉郷の湯は、高齢者や肌の弱い子供にも適しており、温泉療養に向いていると思う。

思い出の温泉

温泉を利用して心と体の健康を増進しようという考え方は古くからある。例えば熱めの湯は交感神経に作用して、心と体を目覚めさせ、逆にぬるめの湯は副交感神経に作用してリラックス効果をもたらす。また温泉に行くということは、効能のあるお湯につかるだけでなく、温泉地という普段と違った場所に身を置くことにも意味がある。毎日の生活とは異なった穏やかな環境が、ストレスから解放される大きな効果を生む。これを転地効果と呼ぶ。山の木々のにおいをたっぷりと吸い込む温泉浴が、体にも心にも効くのである。

私の友人は温泉、宿泊、ゴルフともに大変満足してくれて、またぜひ来たいと言ってくれた。一方で、温泉街は閉店している店が多く、寂しい印象を受けたようだ。温泉街が寂しいのは観光の形態が多様化したことが要因であろうか。そうなると温泉を元気にするためには、この地域の住民が支えることが重要であろう。たとえ近くとも違った場所で寝泊りすることは、転地効果があるし、費用も安く済む。私はオホーツクの財産としてのすばらしい温泉を守るために、市民のひとりとして支えていきたいと思う。

北海道新聞 エッセー:ときわぎ 2009年8月18日掲載

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