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【川村エッセー:ときわぎ】関節の健康

2010年12月11日(土)

整形外科外来の朝は、ヒアルロン酸の関節注射から始まる。ヒアルロン酸注射は関節痛を和らげる効果があり、多くの患者さんが注射を求めて来院される。歳をとるにつれ、腰やくび、肩や膝などの関節に痛みを感じる人が増える。今回は、多くの中高年が悩んでいる関節痛について考察したい。 

変形性関節症(へんけいせいかんせつしょう)は、関節が破壊し障害をきたす状態である。体重がかかる部位での軟骨の損失と骨のとげなどの変化が生じ、関節の痛み、腫れ、運動に伴う異常音、変形などが見られる。一般的に65歳~74歳の50%がなんらかの症状がある変形性関節症があると考えられている。変形性関節症は様々な原因で発症する。遺伝も原因のひとつであるが、ケガや体重の増加、関節周囲の筋力低下、日常生活で無理をかける、といったことがきっかけとなる。

 

【川村エッセー:ときわぎ】関節の健康

 

関節軟骨が傷むということは、軟骨のコラーゲン配列が乱れ、コンドロイチン硫酸やヒアルロン酸が溶け出し、軟骨の弾力性やつるつる感を減少させることである。若い軟骨は非常につるつるしており、氷の上を歩くのと同じくらいつるつる滑る。手術中に見られる変形性関節症の患者さんの軟骨は、けばだちが目立ち、でこぼこしている。サプリメントとして、軟骨の成分であるグルコサミン、ヒアルロン酸やコンドロイチンなどの錠剤は市販されているが、これらがどれほど軟骨に良い影響を与えるか結論は出ていないが、ヨーロッパでは医薬品として販売されているようであり、研究が進むことを願っている。今のところ軟骨を守るには、予防が一番だと思う。体重を増やさない、痛みを我慢してまで運動はしない、一日数回は、関節周りのストレッチや筋力トレーニングを行うことはとても大切である。痛みが続くようだと、X線写真で関節の状態を評価することも大切である。 

軟骨は、例外なく誰でも年齢とともにしなやかさを失い、痛みやすくなる。これは虫歯の治療に例えると、皆さんよく理解される。虫歯の治療は、何よりも予防が大切であり、毎日の歯磨きをしっかり行うことが重要である。関節の軟骨も同じで、毎日、関節をいたわって生活する、「関節磨き」を心がければ、一生自分の関節で生活できる方は相当増えるはずだ。簡単なようで難しいのであるが、意識するだけでもプラスになると思う。

北海道新聞 エッセー:ときわぎ 2010年12月11日掲載

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