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【川村エッセー:ときわぎ】体幹筋(コア)トレーニング

2011年05月24日(火)

東日本大震災から復興を目指す人々が、つらい生活の中で喜びや楽しみを見出せるひとつの方法はスポーツであると思う。様々なスポーツで頑張っている選手の活躍する姿は、勇気を与えられる。イタリアで活躍中のサッカーの長友選手も、見ている側に元気をくれるひとりである。

 

長友選手の特徴は、小さな体でも体の大きな選手に当たり負けないことである。ある報告によると、長友選手の安定性は、しっかりとした体幹筋(たいかんきん)によりもたらされているようである。体幹とは、脊柱(せきちゅう)を中心とした骨格や筋肉の総称であるが、これに重心や軸といった機能的な要素が含まれてくると、コアという言葉が使われてくる。体幹筋は、いわゆる腹筋、背筋のほかに、おしりの筋肉や腸腰筋といった骨盤につく筋肉、ふとももの筋肉も含むことがある。

この体幹筋トレーニングは、従来の腹筋、背筋訓練とは異なり、脊柱から骨盤を良いポジションに保つことに重点を置いている。体幹筋トレーニングの効果は、腰痛の治療のみならず、ケガや故障の予防、パフォーマンスの向上に良いことが科学的にも証明されている。体幹筋の中でも、おなかの深いところにある腹横筋(ふくおうきん)と背骨に付着している多裂筋(たれつきん)が特に重要と言われているが、全体としてバランスよく鍛えることが身体機能の向上に重要である。この訓練法は、最初から一人でやるのは難しい面があるので、習得するまで指導者がきちんと付き添って行うのが理想である。 

【川村エッセー:ときわぎ】体幹筋(コア)トレーニング

 

実際にスポーツ外来を見ていると、腰痛で受診する学生さんが非常に多い。その子供たちに簡単な体幹筋のテストを行うと、ほとんどで筋力不足かバランスの悪さを認める。現実には難しいのであるが、毎日、きちんとしたコアのトレーニングを行うことで腰痛を軽減できるはずである。

 

ところで私自身、コアのトレーニングを行っているが、昔やった何かに似ているな・・・と思い出してみた。それは“雑巾がけ”であった。昔の小学校は木造であったが、教室や廊下の“雑巾がけ”を皆でやったものである。早く終わるようにレースまでしていた。今思えば、素晴らしいコアのトレーニングをやっていたのだと懐かしく思う。

 

 北海道新聞 エッセー:ときわぎ 2011年5月24日掲載

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