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【川村エッセー:ときわぎ】これからの医療で大切な仕事

2013年01月26日(土)

地方での医師不足が問題となり、医学部を新設する議論もよく聞く。しかしながら私は、単に医師の数を増やすより、医師の仕事を補助してくれる人々を増やすことで医師の負担が減り、より医療に集中できる環境を作ることができるのではないかと思う。 

そのひとつが、医療クラーク(医師事務作業補助者)の充実である。医療クラークとは、医師でなければ作成できない診断書作成等について医師の事務作業を補助する仕事で、2008年から厚生労働省が制度化した。たとえば生命保険診断書などの作成では、医療クラークが必要事項を用紙に記入し、最後に医師が確認し患者に渡す。その他にも、退院時サマリー・検査等のオーダリング・処方せん代行作成なども行う。私にもこの7月から3名の医療クラークが配属された。整形外科では、関節リウマチ、骨粗しょう症などで新薬が次々と登場しており、薬の効果を調べたり、副作用が出ないか検査したり、患者データの管理が重要となることが多い。医療クラークにしっかりとデータ管理をお願いすることで、患者さんをじっくり診察できる時間が増え、安全面でも向上していると感じる。 

【川村エッセー:ときわぎ】これからの医療で大切な仕事

 もうひとつ、直接的に医療の現場とは関係ないかもしれないが、もっとスポーツの現場でアスレティックトレーナーの普及を図れないかと感じている。スポーツ障害は予防が一番大切である。スポーツドクターや理学療法士が、日ごろスポーツの現場に出て直接指導することは時間的に困難である。そこで正しい体の使い方、コンディショニングなどを専門的に指導してくれるアスレティックトレーナーは、例えば各学校に数名は必要であると考える。アスレティックトレーナーは,ケガや故障に対して知識があるので、現場で選手を医療機関に受診させるべきかどうかの判断もできる。また中高齢者の健康維持においてもスポーツは重要であり、安全にスポーツを楽しむ為にも現場においてアスレティックトレーナーの積極的な導入が待たれる。米国におけるアスレティックトレーナーは、中学校や高校、大学、プロチーム、一般スポーツの現場で広く活躍されている。

様々な職種の人々が、協力して仕事をすることによりはじめて「オホーツク健康圏」を実現できるので、行政の方々には医療現場の声に耳を傾けて、医師、看護師以外の健康関連従事者にも注目して欲しいと願う。 

 北海道新聞 エッセー:ときわぎ 2013年1月26日掲載

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