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膝前十字靱帯(ACL)損傷(断裂)の治療

はじめに

前十字靱帯とは膝関節の中にある靱帯で、運動するときなどに膝を安定させる役目をしています。

前十字靱帯損傷は、膝の外側からタックルされたとき、ステップを切ったとき、ジャンプして着地したときなどに膝がガクッと外れたとき損傷することが多く、ケガした瞬間に「ゴリッ」や「ポキッ」などの音を伴うこともあります。その後数分間は痛みのため動けないことがあります。

また時間とともに膝が腫れてきて膝の曲げ伸ばしができにくくなります。通常この症状は1~2週間くらいで改善し日常生活などは普通にできるようになりますが、スポーツ復帰したときなどに、再度膝が外れて痛み、腫れなどがでてくることがあります。

前十字靱帯を損傷したままで運動や生活を続けていると、半月板や軟骨といった膝のクッションの役割をする正常な組織が傷ついてきます。前十字靱帯損傷からの時間が長ければ長いほど、膝が痛くなる、腫れる、引っかかるなどの症状がでやすくなります。

膝前十字靱帯損傷の主な症状

「膝がぐらぐらする」「膝に力が入らない」「膝が完全に伸びない、正座ができない」「スポーツ復帰して何度も膝をはずしてしまう」「膝が腫れて、熱をもつ」など当スポーツ整形外科センターではプロスポーツ選手からアマチュア選手、趣味でスポーツを行っている愛好家まで、膝前十字靱帯損傷の治療を専門的に実施しています。

以下に、診察から手術、リハビリの流れを説明します。

膝前十字靱帯損傷の診察

専門のスポーツ整形外科医が診察します。
ケガをしたときの状況を聞き、膝の状態の診察(靱帯が切れているか、痛み、腫れ、熱感があるかなど)、MRI(必要に応じて)などの所見などから総合的に診察し、診断します。それから、現在の膝の状態を説明し、本人のニーズを交えながら治療方針を話し合います。

必要があれば、膝が元のように動くようにするため、筋力を回復させるためにリハビリ(理学療法)の指示がでます。

上左:正常な状態では、前十字靭帯は、すねが前方に行かないようにブロックしている。
上右:断裂すると、すねは前方にずれる。

 

手術前のリハビリ

スポーツ整形外科を専門にしている理学療法士がリハビリを担当します。
前十字靱帯損傷の後、時に通常の回復より遅く膝の曲げ伸ばしが固くなったり、ももの筋肉(大腿四頭筋)がやせて力が入りにくくなる場合があります。

またこのような状態が続いていると、正常に歩けず日常生活に支障をきたしてしまいます。適切なリハビリを行えば、通常2週から1ヶ月ほどで日常生活はもちろん、ジョギングなどの軽い運動は出来るようになります。

この時期には、膝もある程度正常に、痛みなく曲げ伸ばしが出来るようになりますので、筋力を測定してどのくらい回復しているか評価し、もう一度スポーツ整形を受診し今後の方針を話し合います。

手術(前十字靱帯再建術)から術後リハビリテーション

前十字靱帯の再建術が決まった場合のおよその日程を説明します。

当院で実施している前十字靱帯の再建は半腱様筋と薄筋というもも(大腿)の後ろの筋肉の腱を使用し、手術は内視鏡にておこないます。手術後は個人個人で筋力などの膝の回復度合いは違いますので多少前後することはありますが、およそ以下のようなスケジュールとなります。

手術日前日より入院、手術翌日はベッド上安静、手術後2日目からリハビリ開始となります。リハビリは基本的に痛みや不安感のない範囲で進められ、けっして無理のないように行われます。リハビリ室では膝の関節可動域訓練、筋力訓練、歩行訓練を中心に行います。
手術後の膝や、靱帯の回復状態は個人差があるため、スポーツドクターと理学療法士が、それぞれの患者様にあったメニューを作成し実施してきます。

リハビリ室ではリハビリ開始当初から痛みや不安定感のない範囲で体重をかけていき、通常2週前後で杖や装具がなくても安定した歩行が可能になります。日常生活レベルの活動(通勤、通学、階段昇降など)はおよそ3週前後で可能となりますのでこの時期に退院となります。
4週前後で自転車エルゴメーター、8週前後でジョギングが可能になります。競技の種類にもよりますが、5ヶ月頃より軽い(スポーツ)練習を開始し、8ヶ月頃より競技復帰という形になります。

上左:手術前の断裂した膝前十字靭帯
上右:再建した膝前十字靭帯

スポーツ整形外科センター

 

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