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【川村エッセー:ときわぎ】ふるさとの風景

2009年04月06日(月)

4月になり大勢の若者たちが、ふるさとを離れ新しい生活を始めた。
人それぞれが、ふるさとの風景を胸に抱いている。
わたしにとっては、富良野盆地を流れる空知川の風景が目に浮かぶ。

現在の空知川は、河川開発により、わたしの子ども時代から大きくその姿を変えられてしまい、思い出は記憶の中だけにある。
北見市に移り住んでから、広大なオホーツクの風景の中で、わたしが特に心惹かれる風景は、限りなく澄んだ青空である。

前任地の苫小牧市では、港や製紙工場のすぐ側に住んでいたので、朝カーテンを開けると白い煙や霧で真っ白な日が多かった。
特に春先は、そのような日が多かった印象がある。
そのような朝は当然ブルーな気分になるが、恐ろしいもので2週間も住むと慣れてしまった。

北見の空


道内各地を転勤してきたが、北見の空は誇れるほど澄んで美しいと思う。
わたしがニューヨークに留学していた時、スポーツ医学で名高いスコット・ロデオ先生と過ごす時間が多かったが、ある朝、ミーティングを終えロデオ先生と一緒に病院の外に出ると、雲ひとつない美しい青空が広がっていた。
ニューヨークのマンハッタン島は摩天楼で有名な大都会であるが、空気は意外と澄んでいた。
その朝、ロデオ先生は空を見上げ、「オー、サンシャイン!」と叫び小さく背伸びをした。
彼はカリフォルニア育ちであり、さんさんと輝く太陽がふるさとの風景であったのだろうか。

ふるさとを離れた北見っ子達は、青空を見て親や友達のことを思い出してくれるのだろうか?
彼らが帰ってくるまで、美しい故郷の空、思い出の風景を残してあげたいものである。
自分のふるさと、帰れる場所があるということは、幸せなことである。
暗い話題が多い毎日であるが、足元ばかりを見ないで空を見上げたほうが、少しは気分にゆとりができようか?
通勤途中で澄んだ空を見上げ、「オー、サンシャイン!」と小さく叫んでみた。

北海道新聞 エッセー:ときわぎ 2009年4月6日掲載

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