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ハイテクの人工膝関節手術が可能になった!

 膝の痛みと戦っている高齢者は、意外と多い。薬や運動療法で治る場合も多いが、膝の軟骨の傷みがひどい場合、現在の治療法では完全に傷みをなくす唯一の方法は、人工関節という金属とプラスチック素材を入れる方法である。人工関節と聞くと、大がかりなものと考えてしまうが、擦り減ってしまった膝の軟骨とその周辺の骨を数ミリ(1mm~9mm)削り、そこに骨の代わりに金属を、間の軟骨の代わりにプラスチックを入れる手術だ。インプラント手術ともいわれ、歯科治療などではよく使われる用語だ。現在の日本では年間4万人以上が行う手術で、ここ15年くらいではかなりの病院で行われ、毎年手術件数も増えている。

その人工関節インプラントの手術だが、ミリ単位で骨を削るだけに、大きさで1mm、角度で1度が要求され、難易度も高い。元々の患者さんの骨の形や擦り減り方などを参考に手術するが、習熟した医師が行っても数ミリ数度の誤差なども避けられない。正確な手術をするため、さまざまな方法もあるが、現在最も最新と言われているのが、ナビゲーション支援システムだ。しかしこれは、機器が非常に高額で煩雑であり、手術時間が長くなってしまい、合併症などが起こる危険があると報告されている。

 そこで登場したのが、PMI(Patient Mach Insturument system)と呼ばれるシステムだ。これは、患者さんのMRI画像などを参考に、個々の患者さんの骨の形を正確に把握し、その画像に基づいてどのように手術の時に骨を削ったらよいかを教えてくれるガイドのシステムのことだ。

 開発されたアメリカではここ数カ月で導入施設が急増、アメリカ以外でもどんどん導入されつつある最新システムだ。このシステムは、まず患者さんのMRI画像を撮影する。撮影した画像を、マテリアライズ社(ベルギー)及びバイオメット社(米国)へ送り、患者さんの骨などが3D立体画像及び患者さんの骨の角度や厚さなどの詳細がデータとして送られてくる。その送られた画像をもとに、先生がインプラントのサイズ、手術の際に削る骨の量や角度などを入力し、データを返信する。そうすると、数週間後、患者さんの骨をほぼ再現した立体骨モデルと手術支援ガイドが届くというシステムだ。

 立体骨モデルとは、患者さんの骨をほぼ正確に再現したもので、手術の際に必要なデータも刻印され、手術前に先生が手術時のイメージをつかんでおくことも大きなメリットだ。手術支援ガイドの方は、個々の患者さんの骨にピタリと合うように作られた手術器具で、今までは手術中にインプラントの設置位置を決めるのには、先生の経験や勘に頼ることも多かったが、このガイドは事前にプランされた通りにインプラントが設置されるよう、個々の患者さんの手術時の骨に合わせられるように作られている。これを手術の際に使えば、今まで手術時に判断していたことなどが大幅に軽減され、しかも正確に手術ができ、必要な手術器具も大幅に少なくなり、手術時間も短くなるなど、メリットは計り知れない。

 デメリットは、MRI画像を撮ってからガイド類が出来上がるまでに数週間待たなければならないことだが、通常の手術でも患者さんと病院側で手術日を決める際も数週間待つことが一般的なため、余程急いで手術したいという場合以外、ほとんど影響しない。費用に関しても、昨年11月にこのような手術支援システムに関して、国が新たに保険点数加算をしたため、現在のところ、患者さんの費用負担は数千円程度で済む。

 現在のところ、北海道では本格的な導入は札幌医科大学で昨年導入後、数十名にすでに手術が行われ、良好な成績を収めており、導入後ほぼすべての患者へこのシステムが使われている。試験的な導入も数病院で行われたが、継続的な導入が行われているのは、ここ小林病院が道内2番目となった。(バイオメット調べ)最新と言われる手術ナビゲーションよりもさらに新しいこのシステムを、札幌などにいなくても受けられるようになったのは、非常に嬉しいことだ。

 現在小林病院でも、執刀医とMRI撮影室と整形外科外来、手術室スタッフが連携し、このシステムのスムーズな運営体制が整いつつある。現在は人工膝関節インプラントのみだが、将来的に股関節、脊椎など、他部位への研究も進められており、それらに先駆けてまず膝への今回の導入となった。これら最新技術の手術への積極的導入をここ、小林病院整形外科では目指している。

ハイテクの人工膝関節手術が可能になった!

リウマチ人工関節センター

 

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